#6 Windowsを組み上げる (前編)

「使いにくい」ことに気づいてない?

やぁ、少し久しぶりだね

どうだい?新しい逸品は

はい、いい感じですよ!

動作も軽いし、持ち歩きも楽だし、そのちょっと無理して買ってよかったです!

ふむふむ、Envy x360 13-ag0010AUだね

8GBモデルも安くなってお買い得になったしいいチョイスだと思うよ1

それじゃあ、まずはやってみせてくれるかな

はい、それじゃあやってみますね

ジョンに促され、ミナはロックを解除するとややぎこちないながらも自然に操作し始めた。 ジョンはそれをしばらく眺めていたが…

うーん、使いにくそうだね

えっ、そうですか?

すごく使いやすくなったと思うんですけど…

あ、いやEnvyが使いにくいということではないよ

操作効率が悪いという意味だ

えっと…つまり?

きっと元々あまり効率のいい操作方法をしていなかったのと、そもそも使いやすいようにしていなかったからじゃないかな

操作方法を変えるだけで

ミナはあまりポインター操作が得意ではないようだね

ウィンドウを切り替えながら使っているけれど操作するたびにオーバーシュートしているし、ポインティングターゲットが近づくと遅くもなっている

うーん…自覚はないんですけど

じゃあ、そこに気をつけてタスクバーからウィンドウを切り替えてみてごらん

…あ、ほんとだ

ミナはウィンドウを切り替えようと下のほうへのポインターカーソルを動かしたが、行き過ぎてしまい少し戻る。 しかも、ラベルの近くで一旦指を離し、それまでよりもゆっくりカーソルを動かし、行き過ぎた分を戻すときにはさらに慎重であった。

もちろんポイントテクニックを磨くという方法もあるけど、無駄な労力じゃないかな

Alt+Tabでいいし

えっ

ミナがAltを押し下げたままTabを押すとウィンドウのリストが表示され、ウィンドウが切り替わった

こんなことができたなんて…

そもそもWin+数字キーで任意のウィンドウに切り替えもできるけどね

えええ…

知りませんでした

他にも色々あるよ

操作を素早く、確実に行えるようにするためのショートカットキーは色々あります。 これはアプリケーションショートカットとWindowsショートカットを区別する必要もあります。

アプリケーションショートカットはアプリケーションレベルで実装されているため、必ずどのアプリケーションでも利用できるわけではありません。 ただし、ある程度はお約束があり、共通して使うことができます。

Ctrl+C (コピー), Ctrl+V (ペースト), Ctrl+X (カット), Ctrl+Z (アンドゥ), Ctrl+Shift+Z または Ctrl+Y (リドゥ), Ctrl+W (閉じる), Ctrl+Shift+W (全て閉じる), Ctrl+Q (終了する), Ctrl+S (保存する), Ctrl+O (開く), Ctrl+A (全て選択する) あたりが一般的でしょう。

WindowsショートカットはアプリケーションではなくWindowsあるいはウィンドウを操作対象とします。

Win+E (エクスプローラを開く), Win+L (ロックする), Win+R (実行ウィンドウを開く), Win+S (検索する), Win+M (すべてのウィンドウを最小化する), Win+Shift+M (前項のショートカットで最小化したものを戻す), Alt+Tab (ウィンドウスイッチャを起動する), Alt+ESC (次のウィンドウにフォーカスする), Win+Tab (タスクビューを開く), Alt+F4 (ウィンドウを閉じる), F2 (選択アイテムの名前をかえる) が多用するものです。

選択におけるShift及びCtrlの挙動も覚えておくと良いでしょう。

Shiftは現在の位置から次の位置(クリックした場合はクリックした場所まで)の範囲を選択します。 Ctrlは可能であれば現在の選択を維持し複数を選択します。 CtrlとShiftを組み合わせることもできます。

Ctrlを押しながらのカーソル移動はワード移動になります。カーソルキーで選択範囲を伸ばす場合はShiftを押したまま操作します。

Windowsキーと数字キーを組み合わせたときの挙動は少し複雑です。 Windows 7からタスクバーへのピン留めが可能になりましたが、ピン留めされているアプリケーションを左から1, 2, 3...と数えるようにし、これを起動または切り替えます。 タスクバーにピン留めされたアプリケーションは起動しているかどうかを意識しないように設計されており、「切り替えようとしたときに起動していなければ起動する」という挙動です。

この操作は"Shift", "Ctrl", "Alt", "Ctrl+Shift"を組み合わせた計5種類の挙動があります。このうちCtrl+Shift以外は比較的有用です。

Win+←Win+→ はウィンドウタイリングに当てられています。 これはウィンドウを左または右に寄せるもので、左右に並べることを組み合わせ前提としており、タイリングを行った際に反対側に配置するウィンドウを行った選択する画面になります。これはウィンドウを左右の端にドラッグした場合も同じです。 ここでESCキーを押すとタイリングを押すと行ったウィンドウだけを寄せた状態になります。

「ユーザーが使いやすい状態」じゃない「標準」

ところで、設定はどうしてるのかな

設定ですか?

普通に壁紙変えたり、色変えたりしてますけど

機能的には?

デスクトップのアイコン整理したくらいですね

なるほど、それでこの状態なわけだ

それじゃあWindowsを仕上げていこうか

仕上げる?

Windowsはもちろん最初からなんらかの設定をされているけど、別にそれが最適な状態というわけじゃないんだ

もちろん入っているソフトウェアがMicrosoft製か、もしくはコラボレートしているものだけだけど、Microsoft製が一番使いやすいわけじゃない

同じように、基本的にWindowsの設定はMicrosoft、あるいはメーカーが望む方向性であって、僕たちに一番使いやすい状態にしてくれているわけじゃないからね

色々買い揃えないとってことですか?

場合によっては買い揃えることもあるかもしれないけど、まずは設定だよ

あるいは不足を埋めるソフトウェアはインターネットから無料で手に入ったりするしね

インターネット上にあるソフトウェアは危険?

でもインターネットのソフトって危険じゃないですか?

無料なんてなんか怪しいじゃないですか

その答えは一筋縄ではいかないな

まず、インターネット上で配布されているのは配布経路の問題でしかないのはわかるね?

お店で並べるだけじゃなくネット販売っていう道もある、っていう話ですよね

そのとおり。そして、なぜ無料かという話をしよう

これにはいくつか理由がある

まず第一に有料製品のプロモーション

無料で使えるのは期間限定だったり、より機能に優れた有料版を勧められたり、広告がついたりする

無料版を宣伝や販売促進に使っているわけだね

それはわかりやすいですね

それだったら安心かな?

安心、といいきれるかは怪しいものだけどね

第二に販売以外の利益がある場合

広告がついていて広告収入が入るとか、あるいは個人情報を入力することで配布者は営業先情報が手に入ったり、個人情報が入手できたりする

あ、広告がついてるアプリはよくみます

個人情報が手に入る、っていうのは、なんか嫌かな…

第三に、個人的であったり趣味なんかで作っているもの

せっかく作ったのだから他の人にも使ってほしい、ということだね

それは安心な感じがしますね

実はそれも微妙なんだ

小規模で多くの人が使っているわけでもないものは検証もされていないから、もし配布者に悪意があったとしても発覚しづらいから判断に苦しむね

うーん…やっぱり心配なんですね

最後のパターンはちょっと難しい

無料であることよりもその中身が公開されていることに意味があるパターン

中身?

ソースコード2 だよ

え、でもソースコードっていってみれば企業秘密ですよね?

それを公開するっていうのは?

大まかには二種類ある

ひとつは競争力を維持するためだ

でも無料で公開なんかしたら競争力を失うんじゃ

現代のプログラムは非常に高度化・大規模化している

そんな高度で大規模なプログラムを維持するためには優秀な人材がたくさん必要になるし、ライバルがいる場合は開発速度が低くては競争力を失ってしまうからね

そのために公開し、自由参加できるようにすることで世界中の実力ある人に自由意志で力を借りよう、というわけさ。実際は見返りがあるメンバーが多いこともあるけどね

好きに使っていいかわりに手伝ってね、ってことですか?

必ずしも使うことで手伝うことを強要するわけでもないけどね

企業としてはそれはそのままにサポートなんかを販売することもあるし、あるいはそれを元に利益ある付加価値をつけたバージョンを販売したり配布することもある

例えばGoogle ChromeやVisual Studio Codeがその例だね3

もうひとつは、思想的な理由

思想…?

ソフトウェアは自由であるべきだと思っている人たちがいる

ソフトウェアをどう扱うかということに制約を設けるべきでなく、あらゆる人に開放されているべきだという思想を持っている人たちだね

かわった人たちですね

一般的な価値観からすれば変わっているかもしれないけど、ソフトウェアの世界全般でみれば一般的といっていいくらいだと思うよ

いずれにせよ、ソースコードを見れば全て丸わかりだから、多くの人によって活発に開発されているその手のソフトウェアが危険なことは少ないね

といっても、改変は容易だから配布者が悪意を持った改変を行うことは考えられるし、信頼できる配布元から入手する必要があるけど

いろいろ難しいですね

やっぱり色々入れるのは避けたほうが

それを避けていたらコンピュータを有効に活用できないよ

ちゃんとリスクを把握して、リスクをコントロールし、正しく使う。それがリテラシーってやつじゃないかな


  1. 実はEnvy13はコンバーチブルモデルのx360のほうがAMD Ryzenプロセッサを採用しており、このためにややお買い得になっている。Ryzen5 / 8GBモデルは通常104,800円だが、当初「HP ENVY x360 13-ag0000 360度回転の新製品!選べるモダンなクラッチバックセットキャンペーン」としてレザークラッチバッグつきで93,800円で販売されていた。 Intel core iプロセッサを搭載するEnvy 13 ah0000シリーズも8GBメモリのモデルは前年より安くなった。

  2. ソースコードはプログラミング言語で書かれた生のプログラム。ここから生成されたバイナリコードと違い、ソースコードを元にすれば複製、改変などが容易に行える

  3. Google ChromeはGoogleが主導するChromiumを、Visual Studio CodeはMicrosoftが主導するVSCodeを元にして作られています。